ニューヨークには、世界一有名なストリートアーティスト「バンクシー」の作品がいくつか存在しています。
バンクシー自身が2013年に行った「Better Out Than In」というプロジェクトでも、たくさんの作品が登場。
この記事ではニューヨークにある(or あった)バンクシーの作品や、彼の代表的な作品について紹介します。
ニューヨークのバンクシー作品一覧
「ストリートアート」という性質上、すぐに塗りつぶされたり、持ち去られたり、破壊されたりすることもあるため、全てが残っているわけではなく、むしろ現存しているアートは少ないです。
1. “Hammer Boy”(ハンマーボーイ)
- 場所: 79th Streetとブロードウェイの交差点
- 内容: ハンマーでゲーム機を叩こうとしている少年の姿が描かれています。この作品はアッパーウエストサイドにあり、比較的保存状態が良く、現在も見ることができる数少ない作品の一つです。
- 特徴: 彼の「Better Out Than In」プロジェクトの一環として2013年に描かれ、街の子供たちの日常の一部を切り取ったものです。
2. “The Sirens of the Lambs”(子羊たちの沈黙)
- 場所: ミートパッキング地区とマンハッタン全域
- 内容: 食肉処理される動物たちを運ぶトラックのインスタレーション作品で、ぬいぐるみが動き、悲しそうな音を出す仕掛けが施されていました。このトラックは街中を巡回し、食肉産業の残酷さを暗示していました。
- 特徴: 動きのあるインスタレーションで、視覚的にも感情的にも強烈なメッセージが込められていました。
3. “Ghetto 4 Life”(ゲットー フォー ライフ)
- 場所: ブロンクス(位置不明、作品は現存せず)
- 内容: 白人の少年がゲットーに「Ghetto 4 Life」と描いたグラフィティを、黒人のボディガードのような人物が監視しているという風刺的な作品でした。
- 特徴: 人種問題や貧困地域に対する社会の視点を批判した作品ですが、すぐに破壊されてしまいました。
4. “Concrete Confessional”(コンクリートの告白室)
- 場所: クイーンズ、ウッドサイド
- 内容: 覆いを被った人物が、何かを告白するような姿が描かれている作品。彼の他の作品と同様に、政治的なメッセージを含んでいます。
- 特徴: 宗教や人間の罪に対する風刺が込められていると解釈されます。現在は消失してしまいました。
5. “Tribute to Twin Towers”(ツインタワーへのオマージュ)
- 場所: チューリップ・ハウジング・プロジェクト、クイーンズ(消失済み)
- 内容: ツインタワーが描かれ、その中心には造花が。9/11の犠牲者への追悼の意味が込められていた作品です。
- 特徴: 非常にシンプルな作品ですが、誰が見ても一目で9.11事件のことだとわかるイラスト。強い感情的なメッセージが込められていました。
6. “I Heart NY”(アイ・ラブ・ニューヨーク)
- 場所: ワールドトレードセンター跡地近く(消失)
- 内容: 医者が「I ❤️ NY」のハートを治療している姿が描かれています。ニューヨークが9/11の後、傷つきながらも回復する様子を表現した作品です。
- 特徴: ニューヨーク市への愛と、回復の象徴として描かれたものですが、後に塗りつぶされました。
7. “Balloon Girl”(バルーンガール)
- 場所: ブルックリン
- 内容: 少女が風船を手にしている姿のシルエット。とても有名なバンクシーの作品の一つですが、ニューヨーク版は破壊されてしまいました。今はロンドンやパレスチナの壁などで見ることができます。
- 特徴: 少女と風船というシンプルなモチーフを通じて、希望や喪失を表現しています。
8. “Graffiti Is a Crime”(グラフィティは犯罪だ)
- 場所: マンハッタン、チャイナタウンの近く
- 内容: 2人の少年が、「Graffiti is a Crime=グラフィティは犯罪」と描かれた看板の前に落書きしている風刺的な作品。バンクシー自身の作品もグラフィティであるという自己言及的な風刺が込められています。
- 特徴: 社会がストリートアートを犯罪とみなす姿勢へのユーモアあふれる対応。なんと4時間後には消されてしまいました。
9. “Mobile Waterfall”
- 場所: ブルックリン
- 内容: 街中に設置された移動式トラックに描かれた滝の絵で、車が走ることで動いているかのような錯覚を生む作品でした。このインスタレーションは一日限定で公開されました。
- 特徴: 壮大な自然の風景を都会の中で再現することで、自然と都市の対比を表現したもの。
10. “Occupy the Musical”
- 場所: マンハッタン、ブロードウェイ付近
- 内容: ブロードウェイの広告「The Musical」を活用した作品で、「Occupy Wall Street(NYのウォール・ストリートで始まった、アメリカの経済や政治への抗議デモの合言葉)」をもじった作品でした。この作品は、反資本主義的な運動を揶揄し、メディアや商業化された抗議活動に対する風刺を含んでいます。
- 特徴: 政治的な運動を消費文化と結びつけるアイロニーが表現されています。
11. “Shoe Shine”
- 場所: ブロンクス南西部
- 内容: マクドナルドのアイコンであるピエロのロナルド・マクドナルドが、巨大な靴を靴磨きの少年に磨かせているインスタレーション作品。バンクシーにしては珍しい立体作品(インスタレーションですが)で、少年は本物の人間。このインスタレーションは、「マクドナルドの過剰な商業化」と「ファストフード業界の労働者への待遇」に対する風刺として広く注目されました。なんと勇敢にも、ニューヨーク各地にある本物のマクドナルド店舗の真ん前の道路に設置されました!
- 特徴: いつも笑顔が張り付いたようなドナルドの顔は、口角が下がり、蔑むような冷めた表情。いつものイメージとのギャップがめちゃくちゃ怖い…。商業的なアイコンが、労働階級の若者に奉仕させている状況を風刺しています。
12. “Truck with ‘The Musical’ Banner”
- 場所: マンハッタン内を移動(現在は消失)
- 内容: 大型トラックに「The Musical」というタイトルを描き、その周囲に劇的な場面を模したキャラクターたちが描かれていました。トラックが動くことで、その内容が一種の移動式劇場のように見える仕掛けでした。
- 特徴: 公共空間を使ったアートインスタレーションの一環として、劇場的な要素を取り入れ、街を舞台にした動的な作品。
13. “The Banality of the Ban”
- 場所: ブルックリン
- 内容: 警官が「NO LOITERING」(たむろするな)というサインを掲げている風刺的な作品で、公共のスペースにおける制約や警察権力の過剰な行使を批判しています。
- 特徴: ストリートアートにおける警察との関係を直接的にテーマにし、ストリートでの表現が常に抑圧されるという現状を風刺的に描いた作品です。
まとめ
以上、ニューヨークの路上で見ることのできる(or できた)バンクシー作品一覧でした!
今見に行けるアートは非常に少なくなってしまっているバンクシー作品ですが、世界中にファンのいる彼の作品は強烈なインパクトを持ち続けています。
アートが好きな人は、ぜひニューヨークでバンクシー・アート巡りをしてみることをお勧めします!!