ニューヨークで見られる、「Sleep No More(スリープ・ノー・モア)」というショーを知っていますか?
実はこれ、ニューヨーク・マンハッタンの西部「チェルシーエリア」で毎晩開演されている、ニューヨークで今最も話題のショーなんです。
NYで今、一番観たいショーはSleep No More
ニューヨークには、エンターテイメントが星の数ほどあります。
- 世界トップレベルの美術館の数々
- ブロードウェイのミュージカル
- 大規模イベント
- 街を見下ろす展望台
などなど…、挙げだすときりがないほどたくさんの見どころがあります。
そんなニューヨークに「住んでいた」というと、よく友人やこれから旅行で行きたい人に聞かれる質問がこれ。
「どこが一番おすすめ?」
そんな時には、わたしは毎回「Sleep No More(スリープノーモア)!!」と答えています。
ニューヨークにあるエンターテイメントは一通り制覇した(はず。)のですが、わたしにとってSleep No Moreの面白さは、NYのあらゆるエンターテイメントの中でもダントツ1位でした。
スリープノーモアは、わたしが個人的にニューヨークに行くすべての人に一番行ってほしい、超おすすめの見所です。
スリープノーモアは、「ニューヨークで最も価値ある$100の使い道」に選ばれた!
そしてこのショー、何がスゴイって…
2016年のNew York Times(ニューヨークタイムズ)」の新聞記事で、
「ニューヨーカーが選ぶ、今NYで最も価値ある100㌦の使い道」に選ばれてるってことだと思います。
その絶賛文句に、わたしはとても心惹かれました。
それまで私は、
「Sleep No Moreなんてショー聞いたこともないし、チケット高い(100㌦)し、だったらブロードウェイのCATとかライオンキングとか有名なショーにもっと行きたい」
なんて思っていました。
しかし、この記事を見て、さらに実際に行った友達から「めちゃくちゃ面白かった!」と聞いてやっと、
「Sleep No Moreってどんなもんかな、行ってみようかな」
という気になりました。
わたしはNYの美術系の大学に通っていたのですが、クラスメイト達もみんな絶賛してたんです。しかも、「ブロードウェイなんて商業的でつまんない」なんて豪語していた変わり者の友達も、
「ニューヨークにいる間に、Sleep No Moreは絶対に見るべきだよ。」
とおすすめしてくれました。
つまり「100ドルあったら、スリープノーモアを見に行こう!」ってこと!^^
「Sleep No More(スリープ・ノー・モア)」とは
さて、そんな世間を騒がす「Sleep No More(スリープノーモア)」とは、一体どんなショーなのでしょうか?
これが、説明するのがとても難しい。とりあえず、どんなものなのか概要や特徴を箇条書きにしてリストにしてみました。
Sleep No Moreのショーの物語の内容について
- ベースになっている物語は、シェイクスピアの『マクベス』と、ヒッチコック監督が映画化した『レベッカ』の2つ
- 二つの物語と、その世界観をミックスさせている
- ほとんどセリフなし。渾身の「無声演技」
- 楽しみ方は、完全に観客次第
(部屋を冒険してもいいし、役者を追いかけてパフォーマンスを見てもいい)
Sleep No Moreの会場&ショーの特徴
- オフ・ブロードウェイ(ニューヨークの、500人以下の中規模ショー)
- 場所は、マンハッタンのチェルシーエリア
- 舞台は、1930年代に建てられた本物の廃墟ホテル「McKittrick Hotel」
- 1階~6階まで、すべての階で物語(演技)が同時進行
(なので、すべての演技を一回で見ることは不可能) - 部屋数は100個以上、全ての部屋が物語の世界観に忠実に再現されている
観客&物語の運び
- 観客体験型・参加型のショー
- 観客は真っ白なマスクを付け、「Anonimous(アノニマス)」=匿名・見えざる者となる
- 観客は自由に歩き、動きまわり、冒険できる
- 喋ったり話したりは厳禁!
- マスクを付けていない人が、ショーの役者
- 観客は、役者を追いかけるようにして、物語を「鑑賞」する
- 誰かと一緒に行っても、90%はぐれる→必然的に個人で動く
…
う~ん、こんなかんじでしょうか。なんだか、わかりにくいですね…。
友達に口で説明していても、毎回「全然うまく伝えられない感」がすごいので、もう、うまく説明するのは諦めています。(笑)
20分かけて、10人ぐらいの人に真剣に説明しても結局「理解できた!」という人はいませんでした。それくらい、複雑で説明しにくいショーです。
ちなみに、実際に行っても、「何が何だかわからなかった」という人もいます。それで楽しいの?と思いそうですが、めちゃくちゃ面白いです!何がそんなに面白いのかは、とりあえず行ってみればわかります(笑)
Sleep No Moreは、こんな流れで楽しむ
(ネタバレではありません。)
1.チケットを買う
チケットの料金は、平日は100USドル~です。(週末は少し値上がりするので、平日の方が安いです。)
普通のブロードウェイショーのように座席が決まっているわけではないので、「入場料」的なイメージで全員一律同じ料金です。
しかしどちらにせよ日本円にすると1万円超えなので、オフブロードウェイのショーとしては決して安くはありません。それでも、その価値は十分あります。
その証拠に、それだけ高いチケットで割引も一切ないのにも関わらず、毎日チケットが「完売」するほどの人気。行く予定の人は、事前にWEB予約もできるので、早めに予約しておきましょう!
チケットの買い方(WEB予約方法)については、こちらの記事(↓)で詳しく紹介しているので参考にしてください。
日本語で買えるようになったよ!(2019)
数年前までは、「英語サイトに登録&予約」する必要があったのですが、最近、日本語予約が可能になりました!!
(スタンダードチケットの販売のみですが、スタンダードで十分なので◎)
しかも、公式サイトから買うのとほぼ同額(差額は数十円程度)なので、日本語で予約した方がミスもなく安心です。
英語が苦手な人でもとても簡単にチケットが取れるのでおすすめです♪
2.会場に入場直後から、もう異空間
Sleep No Moreは、「会場全体が異空間」です。
入場してから荷物を預け(ひとつあたり4.00USドル)、それから奥のデスクで予約確認をすると、トランプのカードを一枚だけ渡され、真っ暗な通路を通らされます。(「え…暗っ!!」ってなります。)しばらく歩き進むと、会場に入る前の待合室である「Manderley Bar(マンダレイ・バー)」に到着します。
ここからもうショーは始まっているようで、待機している案内役の人も、なんだか私たちとは違う空気感を漂わせています。しかもさすが役者…非現実なほどにイケメンです。
ココでの注意点
Manderley Barは本物のバーなので、ウェイターさんに頼んでお酒を飲むことができます。
しかし、できるだけクリアな頭脳でこの謎に満ちたショーを楽しむためにも、ショーの前にお酒は飲まないようにしましょう。得にお酒に弱い人。とてもいい雰囲気のバーなので、飲みたくなる気持ちもとてもよくわかります。
が、ショーを見る時には全力ダッシュしたり、頭を使ったり、とにかくシラフの方が10倍楽しめます。
それに、帰りにもここのバーには必ず帰ってくることになります。お酒が飲みたい人はショーが終わってから楽しみましょう。
3.エレベーターで会場内へ
Manderley Barで待っていると、「4番の人!」という感じでトランプの番号が呼ばれます。
これも、病院みたいな無機質な呼び方じゃなく、雰囲気たっぷりです^^
そしてその呼ばれた番号のトランプを持っている人だけが、専用エレベーターに乗って入場できます。
なので、ここで一緒に来たお友達とは強制的にお別れになります。その後も、暗く広い会場の中、しかもみんなマスクを付けているので、お互いを見つけられる可能性は限りなく低いです。
Manderley Barで、「終わったらバーのココで会おう」といった感じで待ち合わせ場所を決めておきましょう。ショーの終わりはみんな同じ時間なので、場所だけ決めておけば安心です。
エレベーターに乗ると、案内役にどこかの階で降ろされます。エレベーターに乗る直前にマスクを手渡されるので、それを付けます。そして、
「あなたたちは、”存在しない者”(アノニマス)として物語を目撃することになる。会場では、絶対に喋らない・声を出さないように!」
と強く念を押されます。
エレベーターから降りたら、Sleep No Moreの冒険の始まりです!!
4.終わった後
すべて終わったあとは、最初に待っていたManderley Barに戻ってきます。
会場ではおしゃべり一切禁止なので、やっとここで声を出せるようになります!
お友達と来た人は、ここで待ち合わせして、「何を見たか」を話し合いましょう!(ニューヨーカーはフレンドリーな人が多いので、「あなたは何を見た?」と話しかけられることもあるかも。)
この「見たものをシェアする時間」が、もしかしたら一番楽しいかもしれません。
多くの人が、このSleep No Moreを通して、「自分(と少数の人)しか見なかった秘密のシーン」を目撃します。それをシェアしたり、友達の話を聞いて「えー!そんなシーン観てない!」と悔しがったり。(笑)
基本的には個々がユニークな体験をすることになるのですが、大勢で行って体験をシェアするのもとても楽しいです!
5.リピーターが最も多い舞台
そんな流れで楽しむのですが、絶対に自分が見ていないシーンがあります。
下手したら、一度行っただけでは物語の1/10も見ることができていないかもしれません。それで、みんな、何度も行きたくなります。すごい作戦ですね。わたしも、この作戦にまんまとはまり何度も行くことになりました。(笑)
Sleep No Moreを完全に攻略するのはほとんど不可能です。
だけど、少しずつ会場の秘密や物語がわかっていくにつれて、楽しみ方が広がっていくのです。それで、やめられなくなります。(笑)
- 秘密の部屋
- 抜け道
- 数人orひとりしか見られない、限定シーン
- 役者に直接話しかけられるレア体験
など、とにかくハマる要素に溢れています。
また、おのショーには長期的で熱心なファン「Long Time Fan」もかなり多く、信じられないような本当の話なのですが、なんと今までに100回以上やってきた強者もいるのだとか。(それを聞いた時は、つい「100回ということは…100万円超え…?!」と瞬時に計算してしまいました。笑)
「100回」までは行かなくても、10回以上来たリピーターはざらにいます。本当に、スリープノーモアはハマる人はとことんハマる、中毒性の高いショーなのです。
Sleep No Moreの魅力
リピーターの多さからも分かる通り、Sleep No Moreは「何度行っても楽しめるショー」です。
このショーの魅力は、(ありすぎて)どうまとめればいいのかわからないのですが、今までの「ショー」の概念をぶち壊した斬新すぎる作品でもありました。
Sleep No Moreが革新的だった点は多くありますが、特にこんな点が挙げられます。
- 「舞台側の世界」に観客を招待した⇒観客席・舞台が分かれていない
- 観客が自分で見るシーンを選ぶことができる(パフォーマンスを見る・見ないすら)
- 現実の世界のように、物語が同時進行していく
そして、さらにこんな点もSleep No Moreを普通のショーとは違ったものにしました。
- 五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)をフルに使って物語を疑似体験できる
- 本物の家具で作り上げたセット(100以上の部屋)を観客が”体験”することができる
- 手を伸ばせば届くほどの近さで、役者の泊真の演技を見られる
(セリフがほとんどなく、表情・動きなどで表現。とにかくスゴイ。)
これらは、今までのショーではまったく体験することのできなかった「完全に新しい試み」です。「舞台」「ショー」の概念を一気に覆し、さらに素晴らしい体験を観客にもたらす工夫がふんだんにされています。私は、あんなに間近で世界レベルの役者の演技を見られただけでも、「100ドルは安い!」と思えるほど感動しました。
部屋のセットも、物語の舞台である昔のイギリスで使われていた本物のアンティーク家具で飾りつけられています。しかも、それらすべて触り放題。タンスは開けて中を見てもいいし、置いてあるキャンディーは食べてもいいし、手紙も読んでいいんです。
会場内では、もうとにかく自由です。
さらに、部屋によって「におい」も変化します。香水の香り、古いタンスの匂い、羊皮紙とインクの匂い、ポプリの匂い、などなど。一部屋一部屋に、そこにあった物語と人の暮らしの歴史を感じられるほどに、しっかりと世界が作りこんであります。
Sleep No Moreは、「絶対もう一度行きたい!」と思わせる力のある、不思議な魅力あふれる「空間」でもあるのです。
ニューヨークに行く人は、ぜひスリープノーモアへ
Sleep No Moreの「不思議な魅力」は大きな話題を呼び、世界中の人から評価され続けています。
日本のプロの役者の間でも話題になっていて、「Sleep No Moreを見るためにNYに行く」という人が後を絶ちません。
現在は、半年ずつ延長し続けていますが、このショーはいつ終わってしまうのかはわかりません。
ただ、これだけ人気が続いているので、しばらくはずっと見られる…はず…。
Sleep No Moreは、わたしがニューヨークのほぼすべてのエンターテイメントを体験した中で、最も感動した”経験”です。
ニューヨークに行く機会のある人は、やっているうちにぜひSleep No Moreを見てきてください!
Sleep No More 基礎情報
その他、公演時間、チケットの料金など説明します。
公演時間
基本的に一回の公演が3時間。
公演回数は、
- 月~木:1回
- 金・土・日:2回
です。
スタンダードチケットの料金
- 月~木:19:00(89.50USドル)
- 金:19:00(125.00USドル)、23:00(109.50USドル)
- 土:17:00(125.00USドル)、21:00(135.00USドル)
- 日:16:00(109.50USドル)、20:00(109.50USドル)
スタンダードチケットの他にも、
- 特別なブランチがつく「Rooftop Branch Ticket」
- Manderley Barでのシャンパンが含まれる「Champagne Table」
- 早めに入れる「Maximilian’s Guest」
などいろいろな種類のチケットがあります。
が、基本は「スタンダード・チケット」でOKです。
日本語でSleep No Moreのオフィシャルチケットを買えるサイト
今までの舞台の受賞履歴
- ドラマ・デスク・アワード 最優秀ユニーク・シアトリカル・エクスペリエンス賞
- オビー賞 特別賞 デザイン部門
- オビー賞 特別賞 衣装部門
- オビー賞 特別賞 照明部門
- オビー賞 特別賞 音響部門
- オビー賞 特別賞 振付部門